「 虚空 − うそ − 」 プロローグ





 それは、うつろわぬ夢。
 それは、虚無の夢。
 それは、虚空の夢。




 それは


      ―――  空の    夢  ―――



 初めて見た夢に、色は、付いていなかったと後に彼女は語った。

 きっと、その空は本当に……透き通っていたのだろう。
 


 こと、彼女が目を覚ましたとき、周りに知人と呼ぶべき人は誰もいなかった。
 きっと、彼女は一人だったのだろう。周りには人がいて。たくさんの人がいて。



 きっと、彼女は一人だったのだろう。



 夢の中で見た蒼だけが
          きっと
            彼女の全てだった―――




「リィル……」


 始めて、言葉として意味の在るものを掛けてくれた人は、おじであり、後に、父親となる人だった






 それからの物語は、皆周知の事実だろうと思う。
 侵略者との戦い。
 激闘の日々。

 苦難の日々。
 幸せの日々。

 さまざまな時間が、
     さまざまな人々とのふれあいの中で、
               さまざまな形で過ぎ去った。

 そして、戦いは終わり静寂と言う静かな平和が姦しく訪れたのだった。


 幸せの中に、少女は、在った。





 しかし、その幸せは仮初の
          (偽りに満ちた)
             幸せだった。

 たやすく壊れる可能性を秘めていた、それ。
 全てを理解した上で、全てを受けれいていたそれ。


 
 少女は、ずっと偽り続けていたのだろう。
 いや、それは偽りとは呼べないのかもしれない。
 確かに、今の父と築き上げた記憶は存在していたのだから。


 だからこそ、これは誰の責任でも無く、強いて言うならば運命の悪戯。


 悪戯が、悪戯を生んだだけの事。


 酷く悲しい嘘。自覚の無い嘘。虚言。仮面。

 

 誰にも気付かれる事の無い仮初の幸せがそこに在った。




 
 きっと、きっと、少女はいつも一人だった。






 ふとしたきっかけで、その仮初は終わりを告げるとも知らずに。

 幸せなロンドを舞い続ける。

 

 少女の心はいつも
        虚空に
          満たされていた。





 つまりは、少女は本当の娘ではなかったのだ。
 つまりは、本当の娘は他にいたのだ。
 つまりは。









「サンドマン様……その、気になる映像を入手したのですが」

 大広間。こと、憩いの場として使われているそこで、主従の関係に結ばれた二人がいた。

 テセラと言う優秀かつ模範的なメイド。そして、城の主であり、テセラの主であり、娘の父親たるサンドマン。

 豪華、と呼ぶには少しばかり質素で落ち着いた調度品に囲まれ、独特の美意識において構築されている空間に身を浸し、その平和を椅子に深々と座りながら味わっていたところに、サンドマンは報告を受けた。

「……気になる映像だと?」

 訝しげに、報告をしてきたテセラを見つめ返すサンドマン。こと、今と言う時において、気になる映像と言われても想像など付くはずが無い。

 強いて付くとすれば、それは突拍子も無いくらいに最悪の事態―――ゼラバイアの復活など―――位だろう。

 故に、必要以上の警戒心を表に出しながらサンドマンはテセラに問い返したのだ。

 その問いに、テセラは無言で答える。静かに、携帯型の映像モニターを取り出して、サンドマンに映像を見せる事で答えたのだ。

ジジ……ヂヂジジジ

 雑音。事、映像が乱れる音。きっと、その映像はあまりよい機材で撮られたものではないのか、粗雑な環境で取ったが故に乱れたのか……その両方か。

 あまり移りのよろしく無いモニターを、サンドマンは見つめる。


 しばらく、間があった。

ジジ…ヂヂジジジ

 ノイズだけが、空間を満たす。


 そして、数瞬の間の後。


「……なんと……言う、事だ」

「サンドマン様……」


 そんな、二つの言葉が空間を震わせた。




 モニターには、赤い世界が映し出されていた。

 それは、別に世界が赤く染められているわけではなく。

 赤い光が、世界を満たしていただけの話だ。



 それは、夕日。全てを燃やしつくさんとばかりに赤く、紅く、朱く。

 それは、ただ一つの棺じみたカプセルを映し出していた。


 それは、透き通った硝子じみた何かに覆われて。

 やっぱり、それも紅く染まっている。


 そこから、除き見る事が出来るカプセルの中身。

 それは。



 間違いなく。




       紅く染まった
            硝子越しの
                娘たる少女の
                     姿だった。





「リィル……だと?」




 広間に、理解の及ばない戸惑いに満ちた邂逅に対して上げられた言葉が響き渡った。

 きっと。

 誰しも疑問に抱くことだろう。

 これから先、避けられぬ疑問を。



 どちらが。




           偽りなのだろうと。




                     真実は




本物よりも


                  虚言を求める心により




      暴かれるものだ。












               うそ
             「 虚空 」
 





             プロローグ:完
瑠璃
2004年09月15日(水) 00時34分36秒 公開
■この作品の著作権は瑠璃さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
にゃ(怪猫参上)





えっと、訳がわかりまへんな。
分かりやすく言うと。
最終決戦より数ヵ月後
リィルがまた漂着しました。

この作品の感想をお寄せください。
ジーク・・あんた、浮気を(ばきゃあ)

それは冗談としてリィルがふたり?気になる終わりかたを・・
30 なおくん ■2004-09-20 10:29:23 220.109.146.1
なんか、いいかんじですね。続きが楽しみです。 30 柿の種 ■2004-09-16 21:53:20 219.98.224.99
リィルが二人????????
これはこれは・・・・・・どうなるんでしょうね〜。
どっちかが偽物なのかそれともどっちもホンモノなのか・・・・楽しみです。
30 山さんネジラー ■2004-09-15 23:33:57 219.104.57.154
リィルは、時間と空間を越えてやってきましたよね?その時何がおきたか実際のところ誰も知らない。
なんでリィルの感覚では数ヶ月しかたってないのか?確かにセリアスとランビアスのころの記憶は残ってた。でもそこから地球にくるまでの間のことは、誰も知らない。ヒューギなら送り出した時のことは知ってただろうけど、今は確かめることもできん。・・・謎だ。
30 tatsuaki ■2004-09-15 02:16:47 60.34.20.229
リィルが二人居ていいのかーーーー_| ̄|○
やべぇ・・・頭が・・・・
ピーピー理解不能、理解不能、理解h――ボンッ
分かるようなわかんないような…(`д´)ウワァアアン
30 天2 ■2004-09-15 00:47:33 211.134.77.156
瑠璃ワールド展開(ディストーションフィールド展開見たいな勢いで)

もう、なんていうか、瑠璃さんですね。
話が深いなぁ…そして、うまいなぁ
もう一人のリィルの髪はなに色だぁ?
やっぱり青か?意表をついて赤か?黒、白…その辺ですかねぇ?

きになる終わり方だ…サンドマン浮気はほどh(ドカ!バキ!(ぐはっ(戦死(ぇ
50 ちゃーくん ■2004-09-15 00:43:43 220.211.8.74
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