グラヴィトンゲーマーズ第三章之壱〜少女の名前〜紅
「あの…もし迷惑でなければ私を連れて行ってもらえませんか?」

エイジは彼女の言葉に耳を疑った。

「えっ、それはどういうこった?」

思わず聞き返すエイジに年もそんなに離れていない少女は少しうつむいてからしっかりした口調で答えた。

「私、どうしてか何も思い出せないのはさっきいいましたよね?
私は…どうしてそうなったのを知りたい、どうしてそうなったかを…
それにいつまでもここでお世話になるわけにもいかないだろうし」

 それを聞いたエイジは迷った。

ゲームとはいえ、首元に黄色のリボンでまとめた長髪で黒髪、黄銅色のかわいらしい瞳、まぶしいほどの肢体をそなえた少女を危険な旅に付き合わせるわけにはいかない。

それにそんなことになればエイジ自体がまいってしまいそうだった。

(城での生活で多少はなれているとはいえ、そんなことは断じてできん、たとえここが二次元の世界であったとしてもだ。−よし、ここは多少冷徹につらく当たってでも断るしかない…!)

エイジの思考はまとまった。

琉菜やミヅキが聞いたらまず憤慨しそうな考えだった。


「―あの、だめでしょうか?」


少女の言葉にエイジの思考は木っ端微塵に崩壊した。

この潤んだいたいけな瞳をもってこんなことを言われれば男として陥落しないわけがない、エイジはものの見事に陥落した。

「しゃあないな、でもこの近くのセントルージまでだぞ、といっても結構な距離あるみたいなんだがな」

エイジの言葉に少女は目を輝かせ叫んだ。

「ありがとうございます!」

「んで、俺はエイジでいいわけなんだが俺はあんたのことをどう呼べばいいんだ? 名前も聞いてねえから、そこんとこわかんねえんだけど」

エイジはそう言いおえてから『ハッ』となった。

この少女は記憶がないのだ。それをわかっていながらもこんなことを聞いてしまった自分が情けなかった。

 しかし少女は笑っていった。

「なにもそこまで忘れてはいませんよ。私の名前は…リム、リムード=アイザスです。よろしくお願いしますね、紅エイジさん♪」

(こいつ、なんだかリィルににているな…)

なんだか楽しそうな少女、リムを見ていると、ふとこんなことを考えてしまうエイジであった。




  ―翌日―

 ふたりは宿を出発し、再び『昇天の山道』を登り始めた。

先ほどまでふたりがいた宿屋はこの山道の中腹にあるいわば休憩所なのだ。

そのうえ、この山道にはモンスターがでるため、旅人にはずいぶんと重宝される。

そんなこんな言っているうちに二人の前に鳥人タイプのモンスターが現れた。

それも複数が襲い掛かってくる。

「リム!下がっていろ!!」

エイジは叫びながら腰から鉄の刀を抜き去る。

「はぁぁぁっ…」

そしてモンスターの横っ腹をなぎ払った。

だが、さすがのエイジも数に押されてきた。

ひとりだけならなんとかなるのだが、今回はリムがいるためかばいながら戦うしかないエイジは本来の力を出せずにいた。

それを岩肌に隠れてみていたリムはおびえながらもつくづく思った。

(私、なにもしないで守られてばかり…もしかして、エイジさんの錘になってる? だとしたら、私はせめて迷惑だけはかけたくない。自分くらいは自分で守る、そう決めていたのに…これじゃあ、私)

リムは出発して以来、モンスターに襲われたときはおびえきってしまい、隠れ続けるのが常だったし、エイジもそんなリムを傷つけさせまいといつも最大の攻撃で敵を倒していたのである。

守られていてばかりだったという重圧が小さな少女の上にズシンとのしかかった。

(私…もうエイジさんに甘えたりしない!!)

ひとりの少女がそう思ったとき、少女の、リムの中で何かが切れた。

「その指先にひとすじの雷をもって我が敵を討て…リトルプラズマ!!」

リムは地面に小さな陣を描き、その中に印を描いて呪文を唱えた。

するとリムは右手人差し指から小さな雷を放った。

その雷はエイジを飛び越え、その後方に構えるリーダー格のモンスターを感電死させた。周囲のモンスターが驚いたその隙にエイジは特大の一撃を放った。

「天・昇ォざぁぁぁぁぁんっ!!」

エイジが刃より発した衝撃波の風は残ったすべての敵をなぎ払い、消滅させた。

刀を鞘に納めたエイジはすぐさまリムのところに舞い戻った。

「リム!大丈夫か!!」

「うん、とりあえず大丈夫みたい…」

エイジはリムを抱き起こしながら聞いた。

彼女はだらっとしながらもしっかり答えた。

リムの言葉にエイジはほっとしてつぶやいた。

「あの電撃はリムの魔法なのか…でも今まで使えなかったのに…」

エイジはひとり悩んだが、静かに寝息をたてるリムをみて立ち上がり、おぶりながら、苦労人美少女艦長のセリフをつぶやいた。

「悩むのは来週にしよう、その前に問題は山済みなんだからな…」

確かに、エイジは問題を抱え込んだまま山道を歩き続けた。

その後はなんの問題もなく(リムにとって)明朝、エイジたちはセントルージにたどりついた。

だがしかし、これからがエイジの前途多難な毎日の始まりだったのである。



                        つづく


                        第三章之壱  完   
アケヤ
2005年02月14日(月) 14時54分27秒 公開
■この作品の著作権はアケヤさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
どうも、こんにちは、おひさしぶりです。
超ド素人のアケヤです。
今回の第三章第一篇はいかがでしたか?
今回はエイジのお話に色を添えてみました。
今後はエイジのお話をメインにしていきたいと思いますのでよろしくお願いします。

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10 Myronprabs ■2021-04-16 17:23:56 91.210.251.159
名前はリムですか。リィルに似てるとのエイジの弁ですが、プログラムしたサンドマンたちは恋愛ゲーム要素でも狙ってそうです。これでフラグがたつイベントでもあれば確信犯ですよ(笑)。 50 tatsuaki ■2005-02-14 15:34:31 220.99.242.7
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